日銀がマイナス金利導入か

本日、日銀がマイナス金利を導入というニュースが入ってきました。


新たな日銀バズーカ砲となるのでしょうか。


マイナス金利とは、銀行にお金を預けると、利息をもらうのではなく、
毎年預かり賃として、手数料を払うイメージです。


その状況で個人なら現金で持っておくという手もありますが、
大量の資金を持つ銀行が現金で保管するのは現実的ではありません。


そもそも、銀行は、一定量の資金を日銀の当座預金に預けなければ
ならないルールになっています。


銀行は、手数料を払わざるを得ません。


であれば、銀行はそのまま資金を置いておくのではなく、
企業等への貸し出しに回すでしょう、というのが表向きの導入理由です。


一方、為替を見ると、本日は、急に円安方向に振れました。


仮に、外国人が円に預けると、利息は貰えず、逆に手数料を払う状況になります。


この状況で、もし円を買うとすると、何に期待するのか。


もし私が同じ外国人の立場なら、円高が進むことを期待して買います。


毎年0.1%払ったとしても、仮に、毎年、円高方向に1.0%進めば、
0.1%のコストは気になりません。


ところが、ここ数年はむしろ、円安トレンドが続いています。


マイナス金利でも、あえて円に資金を置く人たちがどれだけいるのか。


円が売られ始めて、円安がいっきに進む可能性も否定できません。


日銀の狙いは、ずばり「円安」誘導のような感じもします。


「円安」に動くと、ほぼ必ずといってよいほど、「株高」につながります。


最近は特に、日銀のお金でも株を買っていますし、公的年金のお金でも
株を買っています。


物価目標のこともあり、株安は、非常に困る状況といえます。


もちろん、それほど極端な円安にならないかもしれませんが、
家計防衛の観点からは、「通貨分散」を意識した方がよいと思っています。


今回導入された政策は、私たちの生活と決して無関係な話ではありません。

住宅ローンの金利はなぜ低いのか

森本FP事務所では、資産運用相談に限らず、
総合的なライフプラン相談をお受けしています。


逆に、資産運用相談を単体でお受けすることは
あまりなく、あくまで、ライフプランニングの一環として、
資産運用を捉えていただくようご案内しています。


ライフプラン相談の中でも、比較的ご相談を受けることが多いのが、
住宅ローン相談です。


住宅ローンは、人生にインパクトを与えるほどのお金が動くという意味では
資産運用と同じかそれ以上に重要な項目かもしれません。


ちなみに、最近は、住宅ローンの金利がかなり低いです。


住宅金融支援機構フラット35、2015年12月の実行金利は、
1.55%〜(融資比率9割以下の場合)という水準です。


35年固定で1.55%ですので、仮に、10年後あたりに、
定期預金等で税引後2%超の運用が出来る時代がくれば、
長期固定金利のローンがあることが、むしろメリットになります。


例えば、年1.55%で借りて、年2%の運用を出来るとすると、
住宅ローンを使って、その利ザヤ、年0.45%を稼げる計算です。
(注:ここでは話を単純化するため、団信、借入時コスト等を考慮しません)


運用の利率が、借入の利率を上回る状態になれば、
あえて、繰上げ返済をあせる必要もありません。


無から有を生み出せる状態になる、と言えば分かり易いでしょうか。


ここが長期固定金利のすごいところです。


しかも、当初10年間は、条件を満たせば、
年末残高の1%の住宅ローン減税を受けられます。



ところで、なぜ今こんなに金利が低いのかです。


それは、日銀の金融政策によるところが大きいです。


今は長期の国債も日銀が大規模に買い入れていますので、
金利は上がりようのない状態です。


政府としても、住宅購入は大きなお金が動き、景気対策になるので、
このまま今の政策を推し進める可能性が高いです。


なにしろ、国民が選挙の際に重視する項目の第一が、景気対策ですので。


ただし、個人的にはいつまでも超低金利が続くとは思いません。


日銀による国債の大規模買入れは、永久に続けられるはずがないからです。


変動金利で大きな住宅ローンを組んでいる方は特に注意した方が
よいと思っています。


もちろん、将来のことは、正確にすべてを予測することはできませんが、
公表されている事実や信頼性の高い情報もあります。


それらを集めて、きちんと理解して、分析することが大切と思います。


ファイナンシャルプランニングは、
世間一般では、「金融・保険商品を売るためのこじつけ的な何か?」
という認識レベルですが、本質は決してそうではありません。


生活に必要な知識や考え方です。


来年に向け、少し時間を取って、あなたのファイナンシャルプランニングを
実施してみてはいかがでしょうか。

家計が苦しくなる要因3つ

FPとして日々ご相談を受けていて気付いた、
家計が苦しくなる要因3つです。


1.住宅ローン


ご結婚され、家族が増えれば、住宅ローンを組んで、
マイホームを購入するのは、自然な流れです。


ただし、いきおいだけで買ってしまうと、家計が苦しくなることがあります。


例えば、共働きの年収で、問題なく返済できると見込んでいたのが、
お子さんが生まれるなどして、妻が退職し、途端に家計が苦しくなるといったパターン。


あるいは、勤務先の経営不振や、自己都合による転職など、
購入時から想定外の変化があり、収入が減り苦しくなるパターンもあります。


ここから学べることは、現在の世帯年収だけで、決めないということでしょうね。


月々の返済額と、現在の家賃を比較してどうかではなく、
長期の視点で、余裕を持った計画が大事です。


住宅ローンを組み、家を買うことは、ある意味、レバレッジ(てこの原理)を使った
資産運用と同じです。


万一、返済が困難になれば、家計破たんにもつながりかねないという意味では、
投資信託等による運用よりもリスクの高い選択かもしれません。


リスクを軽減するためにも、住宅ローンはより慎重に検討しましょう。



2.車


車がないと生活できない地域にお住まいの方は、削れない項目ですが、
その分、住居費は、抑えられていることが多いと思います。


一方、交通便利な都会に暮らす方は、住居費は必然的に大きくなりがちです。


さらに、車を持つと、家計が苦しくなる傾向です。


都会であれば、例えば、レンタカーやカーシェアリングなども利用しやすく、
それで事足りる場合もあります。


将来必要となるお金をシミュレーションして、無理をしていないか
きちんと把握することが大切です。


車をやめることで、貯蓄や投資に回すお金を捻出できたりします。


万一、老後に貯蓄が底をついてしまった時に、あの時マイカーを手放していれば。。
と後悔するのは嫌ですよね。


今からの対策が大事です。



3.教育費


小中学校から私立に行かせる場合は、特に、資金計画をしっかりと考える必要があります。


授業料だけでなく、交通費、塾、習い事、交際費など、いろいろと出費は増えます。


私立と公立の教育費は、データではざっくりと年100万円くらい私立が大きくなります。


例えば、お子さん二人を小学校から私立に行かせると、その差は、総額で1千万円を超えます。


家計が苦しくなって、公立に転校させるという事態は避けなければなりませんので、
あくまでご家族で決めることですが、しっかりとシミュレーションして、
背伸びしていないか、真剣に考えみてください。



もちろん、上記以外にも家計が苦しくなる要因はあります。


上記は、すぐに思い付いた3つです。


特に、年収が高いのに、なぜかお金が貯まらないというご家庭は、
上記のどこかで使い過ぎていないでしょうか。


貯めるべき時に、貯まらなかったお金に、20年、30年の運用率を加味すると、
その差はかなりのものです。


お金を使っても、頑張ればなんとかなるという意見もありますが、
サラリーマンの場合、「根性論」だけでは何ともならないこともあります。


そこで必要になるのが、「お金の計画」です。


きちんと「お金の計画」を立てることで、
必要以上に生活レベルを落とさず、かつ家計が苦しくなることを予防できます。


ファイナンシャル・プランナーは、その名の通り、
「お金の計画」をサポートする専門家です。


一度ご相談のうえ、あなたの家計を見直してみてはいかがでしょうか。

日銀が国債を買占めるとどうなるか

日銀は30日の金融政策決定会合で、現行の金融緩和の継続を決めました。


金融緩和とは、要するに日銀が日本銀行券を大量に刷り、
お金をじゃぶじゃぶにし、企業や個人がお金を借りやすくなるようにして、
投資を促す政策です。


主には、日銀が刷った日本銀行券(実際には電子情報のお金)で
市場に出回る日本国債を日銀が買い取る方法を採っています。


そのため、日本国債保有者のうち、日銀の割合がどんどん高まっています。


国の借金1000兆円とよく言われますが、今年6月末時点で、
国債等約1037兆円のうち約28.5%を日銀が保有するようになっています。
(出所:日本銀行


異次元の金融緩和が行われる前は、こんなにシェアは高くありませんでした。


今後も同じペースで日銀が国債の買い取りを進めると、
3年後あたりには、日銀の保有割合が50%を超えるとの試算もあるようです。


一方で、日銀が市場に出回る国債をほぼ吸い上げるため、
民間の金融機関は、国債を買いたくても、買いにくい状況があるようです。


買いたい人が多くて、売り物が少ないと、需給関係で国債の価格は上がり、
金利は下がります。


住宅ローンの金利が今、かなり低いのは、このためですね。


なので、今住宅ローンを新規で組む人、固定金利に借り換える人にとっては、
ある意味チャンスかもしれません。


では、このままどんどん日銀が国債を買い続けて大丈夫なのでしょうか。


このまま買い続けて、例えば、国の借金の半分以上が日銀保有となると、
さすがに日本国債の信用は崩れ始めそうです。


具体的に、S&P、ムーディーズ、といった格付け機関から格下げされると、
一斉に売りに出される可能性があります。


というのも、2007年夏以降の世界的な金融危機をきっかけに作られた
バーゼル3と呼ばれる国際的な自己資本比率規制があり、国内外の銀行は、
リスクの高い資産を過剰に持つと、達成すべき基準をクリアできなくなるため、
仮に日本国債がリスク資産扱いになると、売らざるを得なくなることがあるからです。


そうなると、国債金利は急上昇。


政府による利払いが困難になる可能性があります。


円は急落し、増税、年金削減の話が急浮上するかもしれません。


なので、日本国債の格下げはとても怖いわけです。


ここに書いた趣旨の話は、ブログでも何度も書いていますが、
私たち一般の生活者にとって、別世界の話ではなく、とても関係のある話なので、
よく関心を持って、動きをチェックする必要があります。


今後も折に触れて、私なりの理解で説明していきたいと思っています。

ブラジルレアルの運用は大丈夫か

最近になり、通貨ブラジルレアルが急落しています。


円に対して、直近1年間の下落率は、約33%です。


私の事務所では、継続的な資産運用相談のほか、
スポットのご相談もお受けしていますが、
特に、ご本人やそのご家族が大手証券会社でお取引をされている方から
セカンドオピニオンを求められることがあります。


その際、ブラジルレアルコースが多いのは、いつも気になっています。


いわゆる通貨選択型の投信で、ブラジルレアルを選択しているケースです。


ブラジルレアルは、確かに、現状で、年10%くらいの金利が付きますので、
日本の0%金利に比べ、すごい!と思われるかもしません。


しかし、その裏にある為替リスクには十分注意しなければなりません。


証券会社は、例え、リスクが高くても、ご本人から
リスク、手数料等について理解しました等の項目にチェックをもらえば、
問題なく販売ができます。


そもそも通貨選択型というスタイルについて、本当に高齢者の方が
理解できているのか、個人的には疑問もあります。


ブラジルレアルコースは、投資信託の情報サイトなどで数字を見ても
大量に販売されている実態が浮かび上がります。


もちろん、為替の変動リスクについて、十分に理解した上で購入するのであれば、
それもひとつの選択です。


例えば、ブラジルは、過去(1990年頃です)に
一時3000%に迫るハイパーインフレを経験していること。


それゆえ、ブラジルに暮らす人々は、自国通貨をあまり信用していないこと。


他には、直近10年くらいでどのような為替変動があったかなど、
最低限のことを知った上で、高金利を取りにいくのならまだ分かります。


もっとも、ブラジルレアルコースばかりでは、リスクが高すぎますので、
さまざまな通貨や資産に分散することも肝心ですが。


いずれにしても、証券会社の人たちは、結果についての責任は取ってくれません。


勧められるがままではなく、ご自身で、新聞、書籍、ネットなどから
知識、情報を仕入れることも大事です。

長期投資の決心が試される下落相場

株価の暴落が止まりません。


日経平均株価は、わずか1週間で、13%超の暴落です。


過去にも、


リーマンショック


ギリシャショック


米国債ショック


など、何度も繰り返してきた下落相場が、久々にきました。


今回は、チャイナショックなどと名付けられるのでしょうか。


○○年前に決心した長期投資。


今の局面では、私たちの心が試されています。


株価は、良い時もあれば、当然、悪い時もあります。


良い時もあれば、当然、悪い時も・・・


このことと、「人生」とダブルのは、私だけでしょうか。


人生も、山あり谷ありで、決して平たんな道のりはありません。


でも、どん底を経験したあとに上昇する時は、落ちた前よりも
さらに上に成長できることがほとんどです。


どん底から、這い上がった時の喜びは、何ものにも代えがたいくらい
嬉しいものです。


どん底を経験するからこそ、くぐり抜けた時に、本当の感謝の気持ちがわいてきます。


一度も落ちずに、上昇を続けたら、それが当たり前になり、
おそらく感謝の気持ちなど、わいてこないでしょう。


確かに、今は、厳しい試練の局面です。


ですが、長期では、決して乗り越えられないことはないと、私は信じています。


ここで長期投資をあきらめてしまうか、続けるか。


何を目的に、長期投資を始めたのか。


今は、心が、試されています。

円安で失われる国民の財産

最近のニュースで、「爆買い」が話題です。


中国からツアーを組んで、たくさんの人々が来日し、
電化製品、食品、化粧品、医薬品など
いろいろなものを大量に買っていくようです。


このことは、インバウンド消費といいますが、
国内の景気にある程度までプラスの効果が出ています。


要するに、数年前と比べ、円安がかなり進行したため、
ある意味、バーゲンセール状態とみて、
外国の方たちが喜んで買っていくわけです。


そもそも、日本製品の品質は、世界でも最高レベルですから、
良いものがより安くの状態です。


それから日本株も、円安が進むと、ほぼ機械的に買われます。


というのも、円安になると、外国人の米ドル建てポートフォリオで、
日本株が割安になるからです。


これもある意味では、爆買いと同じ現象ですね。


日本の不動産も似たような事情で買われています。


ただ、このままどんどん円安が進み、極端なところまでいけば、
日本が丸ごと、外国人に買い占められてしまうのではないか、
という不安も感じます。


2012年11月頃から始まったアベノミクスですが、
わずか2年半の間に、1ドル約80円から1ドル約120円まで進みました。


つまり、円預金の評価額は、米ドルベースで約33%の下落です。


一方、日本の個人金融資産は、円安(外貨高)、株高などで、
2012年末の約1550兆円から2015年3月末は、約1700兆円まで増えました。


しかし、そのうち現金・預金の占める割合が、約50%です。


仮に、1550兆円を1ドル80円で米ドル換算すると、19兆3750億ドル
1700兆円を1ドル120円で米ドル換算すると、14兆1667億ドルです。


国民の金融資産は、5兆ドルもの価値が失われているわけです。


このことには、みなさん、危機感を持つべきだと私は思います。


実感がないかもしれませんが、円預金の価値は下がり始めています。


もちろん、円安トレンドは、いったん止まる可能性もありますが、
個人的には、現在の日銀の金融政策を続ける限り、
極端な円高に戻るシナリオは、考えにくいかなと思っています。


そこで重要になるキーワードが、「分散投資」です。


もしも今、円預金や円建て貯蓄性保険しか持っていないという方は、
リスク管理の意味で、「分散投資」を考えてみてはいかがでしょう。


まだまだ価値のある円預金で、外貨や日本株などを買っておけば、
日本国民も、外国人の買占めにある程度まで対抗できるという理屈です。