天動説か地動説か

天体の話ですが、500年くらい前までは、
地球を中心に、太陽や月や星が回っているとする見方(天動説)
が常識として、支持されていたようです。


ところが、その後、コペルニクスにより、
太陽を中心に、地球やその他の惑星が回っているとする見方(地動説)
が唱えられました。


いわゆる「コペルニクス的転回」です。


そして、17世紀に入り、ガリレオ・ガリレイが、
天動説では説明できない現象を次々と発見していきました。


けれど、地動説は、なかなか信じてもらえなかったようです。


ガリレオは、地動説を唱えた結果、宗教裁判にかけられ有罪となりました。


そのとき「それでも地球は動く」と呟いたといわれています。




これを金融の世界に例えてみようと思います。


まず、私たちの生活があり、その周りを世界経済や株や外貨が動いている
とする見方は、1)天動説です。


世界経済を中心に、株や外貨の動きがあり、そして、私たちの生活がある
とする見方は、2)地動説です。


一般的な感覚では、1)天動説の見方をとりますね。


でも、現実的な見方は、2)地動説です。


世界経済が大きく変化すれば、私たちの生活も必ず大きな影響を受けます。




例えば、今、1ドル=107円台まで急速にドル高が進んでいます。


天動説の見方では、ドル高は、私たちの生活とは無関係です。


一方、地動説では、私たちの一番身近な資産「円」の価値が動いていると考えます。


急速な円安ドル高は、米国の景気動向や金融政策にも要因がありますが、
日銀による異次元の金融緩和策も関係しています。


この金融緩和策を際限なく続けると、理屈の上では、円が安くなり、物価が上昇します。


物価の上昇は、私たちの日々の暮らしに多大な影響を及ぼします。


いったん物価の上昇が始まれば、その上昇を抑えるのは、おそらく困難でしょう。


天動説のままでは、生活が脅かされつつある事実に気付けません。


金融の見方も、天動説から地動説に転換した方がよいと思われます。