FP実務の3本柱とは。

FP実務の3本柱は、執筆業務、相談業務、講師業務と言われています。

今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)のサービスにご興味のある方に向けて、FP実務のことをお話したいと思います。

FP実務の3本柱のうち、報酬の有無は問わないとすると、執筆業務は、今は、ブログやメルマガなどで、人に読まれることを意識しながら文章を書くことで、経験を積むこともできます。

一方で、相談業務や講師業務は、実際にお客様と対面して収入、資産の状況を伺ったり、受講者の方に集まってもらったりしなければならないので、仮に無料でも構いませんといってもなかなか経験は積めません。

実は、FPの94%は、本来のFP業務で収入を得ていないというデータもあります。
(日本FP協会の実態調査より−2006年5月に実施)

では、どこで3本柱の経験を積めるのか...

これに近い経験が積める業界として、金融・保険業界、不動産業界、税理士業界などがありますが、FP実務の3本柱で経験が積める業界というのは、実際のところほとんどありません。

FP業界はというと、今のところ、関連団体として、日本FP協会などがありますが、非営利団体であり、FPが資格や知識をつけるためのサポートしか行っていません。
また、給料をもらいながら、独立系FPを目指したいという人を受け入れてくれるような余裕のある独立系FP事務所(会社)なども、現状極めて少ないのです。(つまり、業界として成立していない?)

一方でFPの肩書きを持つ方はたくさんいます。
では、FPに対する一般の方のイメージはというと、FP=金融・保険商品のセールスをする人、あるいは、FP=お得な金融・保険商品を教えてくれる人というものです。
これは、FPの肩書きを持つ方の多くが、金融・保険の営業職であるためです。
しかし、この捉え方は、本来のFPの仕事を考えると、少しずれていると言わざるを得ません。

本来のFPの仕事は、顧客のライフプランの実現をお手伝いすることです。
金融・保険商品は、あくまでライフプランを実現する手段として利用しますが、その選択は、顧客の目的に適合したものでなければなりません。

つまり、Aさんに適切な金融・保険商品の組み合わせが、Bさんにも適合するかというと、そうではないということです。

金融・保険商品を薬に例えると、顧客のライフプランを十分に把握せずに、いきなり個別商品の提案を行うことは、患者の病状を把握するための診療というプロセスを飛ばして、いきなり薬を処方することと同じになります。

診療のプロセスは、FPの領域では、顧客の収入や資産の状況、夢や目標を把握し、意思決定を支援するプロセスです。

このプロセスがなければ、金融・保険商品は、単なる手数料稼ぎの道具という位置づけになりかねませんし、特に“副作用”があるものは、適切な“診療”と“処方”が不可欠です。

日本では、歴史的な背景もあり、金融・保険商品の利用法を正しく理解されている方が、非常に少ないように思います。

金融・保険商品を適切に利用することで、例えば、20年〜30年後の家計破綻から助けてあげられるケースも多くなるはずです。

このためには、3本柱で仕事をするFPが増えることが不可欠と思います。
(最近は、独立系FPか企業系FPか、という議論は、個人的には、あまり意味がないように思いはじめており、結局、大切なのは、企業としての取組み姿勢にあるのではないでしょうか)
ちなみに、私の場合は、ようやく3本柱で経験を積める環境が整ってきました。

これも支えていただいている皆様のお陰であり、ありがたいことです。

FP業界は、これからの業界のため、自らノウハウを作っていかなければならない大変さはありますが、具体的なメリット(将来のお金の不安が解消され、なりたい自分や家族に近づくことができる)を体感する人が増えるまで、辛抱強く仕事を継続していくことが大切と思っています。