FPとしての独立から10年

私がFPとしての独立を決心したのが、
ちょうど10年前の今頃でした。


その前は、税理士としての独立を目指した時期もありましたが、
独立が目的なら、必ずしも税理士にこだわらなくてもよいのではないか
と思ったことが、FPとしての独立を目指すきっかけでした。


また、事業経営者や資産家の方には、税理士というお金の相談相手が
いるのに、一般の会社員、公務員の方、あるいは、その退職者の方は、
金融機関の窓口以外に、なぜお金の相談場所がないのだろうという疑問も
新たなサービスを作ろうと思う動機づけとなりました。


とはいえ、勢いで独立してみたものの、起業後、1〜3年は、
ほとんど仕事がない状態が続き、貯金も底をつきかけました。


その後、ようやくあるきっかけで事業が軌道に乗り始め、
おかげ様で、今では、ご相談が途切れることのない状態になりました。


はじめは苦しい時期を過ごしましたが、その時期があったからこそ、
今の状況を、恵まれている、有難い、と心から感謝できます。


ところで、日本FP協会のアンケート調査によれば、
自身の属性として、FP会社・事務所の経営者と回答した人は、
一昨年時点で、FP資格者のわずか2.6%です。


FPは、資格としての知名度がありますが、それをメインの職業として
独立開業している人の割合は、とても少ないといえます。


例えば、FPの勉強会などに参加しても、
独立開業していることは、珍しがられることが多いです。


この現状をふまえ、生活者の側に立ったFPサービスを
もっと育てていかなくては、との思いを強くします。


そして、今年からは、FP業界も大きな変化を迎えます。


具体的には、保険の委託型募集人制度の廃止というトピックがあります。


日本FP協会の昨年の臨時のアンケート調査によれば、
委託型募集人として保険募集・販売を行っている(いた)FPの6割が
この変更による影響がある(あった)と回答しています。


少し説明すると、
今までは、FPが独立したまま請負の形で、複数社を取扱う大型保険代理店
に登録することが実質的に認められてきました。


しかし、業法が変わり、今年4月からは、保険代理店との雇用関係なしでは、
保険の募集業務ができないことになります。


この変化は、実は、FPサービスを利用する側にとっては、
わかりやすくなる面もあります。


例えば、保険の加入、見直しを前提に、無料で相談したい方、
特に、複数社の保険商品を比較して、検討したい方は、
大型保険代理店に「雇用」されているFPを選ぶメリットは大きくなります。


これまで副業的に保険募集をしてきたFPは淘汰され、
今後は、専業の保険相談のプロが対応するようになります。


ただし、保険代理店との雇用関係があるということは、
100%相談者側に立ったアドバイスができないこともあるとの認識は必要です。


もし、100%個人と個人の信頼関係にもとづく、包括的な個人財務の
アドバイスを求めるなら、「独立」のFPを選べばよいことになります。


もちろん、「独立」のFPに有料で相談した上で、別途で保険相談のプロから
情報をもらうことは可能です。


なお私個人は、今後も独立した立場で、引き続き10年前に目指した
FPサービスに取り組んでいきたいと考えています。