円安で失われる国民の財産

最近のニュースで、「爆買い」が話題です。


中国からツアーを組んで、たくさんの人々が来日し、
電化製品、食品、化粧品、医薬品など
いろいろなものを大量に買っていくようです。


このことは、インバウンド消費といいますが、
国内の景気にある程度までプラスの効果が出ています。


要するに、数年前と比べ、円安がかなり進行したため、
ある意味、バーゲンセール状態とみて、
外国の方たちが喜んで買っていくわけです。


そもそも、日本製品の品質は、世界でも最高レベルですから、
良いものがより安くの状態です。


それから日本株も、円安が進むと、ほぼ機械的に買われます。


というのも、円安になると、外国人の米ドル建てポートフォリオで、
日本株が割安になるからです。


これもある意味では、爆買いと同じ現象ですね。


日本の不動産も似たような事情で買われています。


ただ、このままどんどん円安が進み、極端なところまでいけば、
日本が丸ごと、外国人に買い占められてしまうのではないか、
という不安も感じます。


2012年11月頃から始まったアベノミクスですが、
わずか2年半の間に、1ドル約80円から1ドル約120円まで進みました。


つまり、円預金の評価額は、米ドルベースで約33%の下落です。


一方、日本の個人金融資産は、円安(外貨高)、株高などで、
2012年末の約1550兆円から2015年3月末は、約1700兆円まで増えました。


しかし、そのうち現金・預金の占める割合が、約50%です。


仮に、1550兆円を1ドル80円で米ドル換算すると、19兆3750億ドル
1700兆円を1ドル120円で米ドル換算すると、14兆1667億ドルです。


国民の金融資産は、5兆ドルもの価値が失われているわけです。


このことには、みなさん、危機感を持つべきだと私は思います。


実感がないかもしれませんが、円預金の価値は下がり始めています。


もちろん、円安トレンドは、いったん止まる可能性もありますが、
個人的には、現在の日銀の金融政策を続ける限り、
極端な円高に戻るシナリオは、考えにくいかなと思っています。


そこで重要になるキーワードが、「分散投資」です。


もしも今、円預金や円建て貯蓄性保険しか持っていないという方は、
リスク管理の意味で、「分散投資」を考えてみてはいかがでしょう。


まだまだ価値のある円預金で、外貨や日本株などを買っておけば、
日本国民も、外国人の買占めにある程度まで対抗できるという理屈です。