景気回復の実感がわかない理由

アベノミクスで景気が回復しつつあるといわれます。


株、投信等を保有している方の中には、2年そこそこで
ざっくりと1.5倍くらいに増えた方もいます。


確かに潤っているようです。


2015年も、円安、株高は進むというのが大方の予想です。


具体的には、日銀の金融政策により通貨の価値を下落させて、
物価を上昇させようとしています。


物価目標2%(前年比)も、遅かれ早かれ達成するでしょう。


極端な話、上空ヘリコプターから日本銀行券をまけばよい
と言う人もいます。
(もちろん、現実にはありえませんが)


要するに、日銀が手段を選ばなければ、物価上昇は必ず起こる、
ということです。


しかし、株や外貨など、モノが値上がりするだけで
本当によいのでしょうか。


それだと、モノを保有していない人には、恩恵がありません。


全員が景気回復を実感できるには、やはり、賃金が増えることが必要です。


本来は、物価目標2%ではなく、賃金目標を2%に設定すべきだった
とあとで気づくことになるでしょう。


では、賃金を上昇させるためには、どうするかです。


政府に頼るという意見もありますが、それだと、
政府と仲の良い人たちにだけお金が配られ、全体にゆきわたらない
という問題が起こります。


賃金が上昇しない理由の根本は、
この20年で日本に根付いてしまった「デフレマインド」にあります。


とにかく安く。


常にその意識で行動していませんでしょうか。(私も含めて)


デフレマインドを脱却するためには、
端的にいうと「感謝の輪」が広がることだと私は思います。


具体的には、何か人からサービスを受けたら、
感謝の気持ちで、適正な額をきちんと支払うことです。


モノではなく、人への支払いを増やすことです。


企業なら、従業員の給料を増やす。


個人なら、サービス業に従事する方々への支払いを増やす。


といったことで誰でも実践できます。


大事なことは、人への報酬は、それが適正な額である限り、
出し惜しみをしないということです。


給料が増えると、まず、消費が増えます。


そして、企業の売上が増え、設備投資が増え、
株価にも実態が伴ってくる・・・という好循環が生まれます。


本当の景気回復の道。


自分が支払ったお金は、やがて経済の仕組みの中で、
2倍、3倍になってまた自分のところに戻ってくるという知識を広め、
お金を払うことは、必ずしも損ではない、というマインド
を醸成することだと思います。


実際、私もFP相談の中で優良企業にお勤めの方ほど、
高い給料をもらっていると感じます。


このことを優良企業だから高い給料を払えると思われるでしょうか。


私の説は逆で、従業員に高い給料を払っているからこそ、
どんどん優良企業になっていくのだと考えています。


人を大事にしないブラック企業は、一時的に伸びたとしても、
例えば、ネットで、集中批判を浴びるなどして、
立ち行かなくなったり、衰退していくことが多い気がします。


自分さえよければいい、が横行すると、
本当に殺伐とした社会になってしまいます。


大事なことは、人への報酬は、感謝の気持ちで出し惜しみしない。 


感謝の輪が広がれば、それが、自然に人への報酬というカタチになります。


人為的な方法で、物価を上昇させるだけでは、
決して、全員が実感できる景気回復にはなりません。


感謝の輪を広げる、このことが景気回復の唯一の道と思えてなりません。