日銀が国債を買占めるとどうなるか
日銀は30日の金融政策決定会合で、現行の金融緩和の継続を決めました。
金融緩和とは、要するに日銀が日本銀行券を大量に刷り、
お金をじゃぶじゃぶにし、企業や個人がお金を借りやすくなるようにして、
投資を促す政策です。
主には、日銀が刷った日本銀行券(実際には電子情報のお金)で
市場に出回る日本国債を日銀が買い取る方法を採っています。
そのため、日本国債の保有者のうち、日銀の割合がどんどん高まっています。
国の借金1000兆円とよく言われますが、今年6月末時点で、
国債等約1037兆円のうち約28.5%を日銀が保有するようになっています。
(出所:日本銀行)
異次元の金融緩和が行われる前は、こんなにシェアは高くありませんでした。
今後も同じペースで日銀が国債の買い取りを進めると、
3年後あたりには、日銀の保有割合が50%を超えるとの試算もあるようです。
一方で、日銀が市場に出回る国債をほぼ吸い上げるため、
民間の金融機関は、国債を買いたくても、買いにくい状況があるようです。
買いたい人が多くて、売り物が少ないと、需給関係で国債の価格は上がり、
金利は下がります。
住宅ローンの金利が今、かなり低いのは、このためですね。
なので、今住宅ローンを新規で組む人、固定金利に借り換える人にとっては、
ある意味チャンスかもしれません。
では、このままどんどん日銀が国債を買い続けて大丈夫なのでしょうか。
このまま買い続けて、例えば、国の借金の半分以上が日銀保有となると、
さすがに日本国債の信用は崩れ始めそうです。
具体的に、S&P、ムーディーズ、といった格付け機関から格下げされると、
一斉に売りに出される可能性があります。
というのも、2007年夏以降の世界的な金融危機をきっかけに作られた
バーゼル3と呼ばれる国際的な自己資本比率規制があり、国内外の銀行は、
リスクの高い資産を過剰に持つと、達成すべき基準をクリアできなくなるため、
仮に日本国債がリスク資産扱いになると、売らざるを得なくなることがあるからです。
政府による利払いが困難になる可能性があります。
円は急落し、増税、年金削減の話が急浮上するかもしれません。
なので、日本国債の格下げはとても怖いわけです。
ここに書いた趣旨の話は、ブログでも何度も書いていますが、
私たち一般の生活者にとって、別世界の話ではなく、とても関係のある話なので、
よく関心を持って、動きをチェックする必要があります。
今後も折に触れて、私なりの理解で説明していきたいと思っています。